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最高裁判所大法廷 昭和24年(れ)238号 判決 1949年11月30日

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人堀内宗治の上告趣意は末尾添附別紙記載のとおりでありこれに対する当裁判所の判断は次ぎの如くである。

第一点について。

(イ)裁判が迅速を欠いたかどうかということは場合によっては係官の責任の問題を生ずるかも知れないけれども、そのため判決破毀の理由となるものではないこと当裁判所の判例とするところである(昭和二三年(れ)第一〇七一号事件昭和二三年一二月二二日大法廷言渡判決)又法は憲法第三七條の所論権利を与へたことを記録に明記する義務を裁判所に負わせているものではないから論旨は理由がない。

(ロ)所論憲法上の権利は被告人が自ら行使すべきもので裁判所、檢察官等は被告人がこの権利を行使する機会を与え、その行使を妨げなければいいのである。記録を精査すると被告人は逮捕された日(昭和二二年九月三〇日)に司法警察官の訊問を受けその際「今回の事件で弁護人を選任することができる」旨を告げられてをり更に同年一〇月二日附檢事の訊問調書に論旨摘録の如き問答があるばかりでなく、判事の勾留訊問の際にも弁護人を選任し得ることが告げられている、されば被告人は逮捕直後勾留前に弁護人を依頼する機会を十分与えられたことを認むるに足り裁判所がこれを妨げた事実は毫も認められないし、被告人から国選弁護人選任の請求があった事跡もない、しかして法は所論のようなことを特に被告人に告げる義務を裁判所に負わせているものではないから原判決には所論のような違法はなく論旨は理由がない。

(ハ)憲法第三七條第二項は所論のような告知義務を裁判所に負わせているものではないから論旨は理由がない。

第二点について。

記録中の論旨指摘の個所には淡くはあるが契印がある。又法は加除の場所の外になお欄外加除字数記載の場所にまで認印することを要求してはいない、從って論旨は理由がない。

第三点について。

執行猶予を言渡すか否かは事実審裁判所の裁量の範囲に属するものである。論旨は結局原審が適法に為した刑の量定を非難するに帰し上告適法の理由とならない。

よって上告を理由なしとし旧刑事訴訟法第四四六條に從って主文の如く判決する。

(裁判長裁判官 塚崎直義 裁判官 長谷川太一郎 裁判官 沢田竹治郎 裁判官 霜山精一 裁判官 井上 登 裁判官 栗山 茂 裁判官 真野 毅 裁判官 小谷勝重 裁判官 島 保 裁判官 齋藤悠輔 裁判官 河村又介 裁判官 穂積重遠)

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